尾瀬に初めて行った日

尾瀬に初めて行ったのはもう随分昔のこと…19歳の六月でした。
当時流行っていたファッション雑誌ノンノに尾瀬ヶ原の写真が載っていて、友人と今度の週末は尾瀬へ行こうということになったのです。
今でこそ尾瀬ベテランの私も、当時は尾瀬といえば江間章子さん作詞の「夏の思い出」くらいしか知らなくて、尾瀬に着いたらすぐに木道を歩けるものだと思っていました。

荷物は財布とハンカチくらい、少しはお菓子も持っていたかも？
服装はジーパンにトレーナー、靴は運動靴。
金曜日の授業が終わった後、学生寮で夕食とお風呂を済ませ、東京駅から尾瀬行きの夜行バスに乗り、土曜日の明け方大清水でバスを降りました。
真っ暗で寒くて何もない大清水、想像していた尾瀬と全然違う！友人と私がとまどったのは言うまでもありません。
とりあえず、みんなが歩き出す方向に足を進め、一軒の山小屋（今思うと、大清水小屋か物見小屋？）に入り、豚汁を食べました。
さて、どうする？尾瀬ってどっちに行けばあるの？と知らない者同士で相談してもしょうがないことを話して、結局みんなの歩く方向へ歩き出したのでした。

小雨がぱらついているにもかかわらず軽装の若い女性二人がとぼとぼ歩いていると、心優しい6人の山男たちが声をかけてきました。
「ヤッケは持ってないの？」「持ってません」
「今日はどこに泊まるの？」「東電小屋」です」
「尾瀬は初めて？」「はい」
「そうだろうな。やっけを持ってないと寒いよ。僕たちは東電小屋じゃないけど、同じ方向だから連れて行ってあげよう」
やっけを貸してもらい、休憩するときは食べ物を頂戴し、三平峠や尾瀬沼では記念写真を撮ってもらって、私たちふたりは夕方遅く無事東電小屋に着いたのです。

当時の東電小屋はまだボロい建物で雑魚寝でした。
水芭蕉最盛期の週末の小屋は一畳に三人くらいの狭さでしたが、とても疲れていたのでぐっすり眠りました。
翌朝目覚めると、爽やかな朝。木道から可憐な水芭蕉を覗き込み、あー、これが尾瀬なんだと、ようやく尾瀬にたどり着いた実感がわきました。

当時19歳だった私がおばさんだから、心優しき山男の人達も今はしっかりおじさんでしょう。
尾瀬を歩いていると、もしかしたら、どこかでその恩人たちとすれ違っているかもしれないなーと思ったりします。
最初の尾瀬との一期一会、尾瀬で知り合った人との一期一会。いつまでも、私の大切な想い出です。

コメント 3

遅ればせながら～おめでとうございます。
楽しく拝見しました・・・

ピンクの少女がhanamiさんですね（笑）
あの和服姿と結びつきません。
「どちらがいいか～」ですって・・「そりゃ～若い方にきまっていますよ～」（笑）

shinの初尾瀬は定年後の２００２年７月でした・・・
残念ながら日にちは覚えていませんが尾瀬ヶ原と大江湿原の日光キスゲ大群落だけは今でも鮮やかに覚えています。
by shin (2006-02-20 08:53) 

花見さん、ブログ開設おめでとう♪
花見さんの初尾瀬は大清水からだったんですね。　私は１９７４年に富士見下からアヤメ平、鳩待ち、尾瀬ヶ原、温泉小屋泊まり、そのあと尾瀬沼山荘泊まりでした。　私も雑魚寝でしたよ。　それも初めての雑魚寝、びっくりでした。　感激の尾瀬でした。　その後、いつか行こう、行きたいと思いながら２９年ぶりに尾瀬に行ってすっかりはまりました。　何だか、みんなよく似ているなと思いながら花見さんの初尾瀬読んでいました。　可愛い花見さんはピンクさんの方ですか。　若いですね。　そして今も若～～い！！
by お千賀さん (2006-02-20 10:45) 

shinさん、お祝いをありがとうございます。
やっぱり若い方ですか。（笑）
shinさんの初めての尾瀬はニッコウキスゲの大群落…。きっと大感激だったことでしょうネ。
私はこの後ずーっと時間が空いて、二回目に訪れたのは1995年の6月です。それから毎年尾瀬通い。でも、初めての尾瀬は特別ですね。いい思い出があるから、今でもこうして尾瀬、尾瀬と言ってるんだろうなと思います。

お千賀さんもお祝いのメッセージをありがとうございます。
ホント、似てる。（笑）尾瀬へのはまり方のプロセスがそっくりですね。
お千賀さんは京都からですものね～。私以上でスゴイと思います。
ピンクのトレーナー姿の花見、この頃は年を誤魔化さなくても若かったです。（笑）
by hanami (2006-02-20 16:59)